三四郎~その2~ 夏目漱石

今回も前回に引き続いて三四郎の第一章を見ていきます。

◦登場人物

・三四郎

・女

 

◦あらすじ

しばらく女と車内で会話をしているうちに名古屋につく。女の頼みによって三四郎と女は同じ宿に泊まることになった。三四郎は女と同じ部屋に泊まることになり困惑するも何事もなく夜を明かし、駅で女と別れる。

 

◦解説

この場面は三四郎の特徴や性格、育ちをうまく描き出している場面です。

P8では「この時女の帯が初めて三四郎の眼に這入った」や「今度は正面が見えた」といったような表現があり、改めて女のことを意識して見始めているということが読めます。

三四郎がかぶっている帽子というのは高等学校のもので徽章を外したことで高等学校を卒業したことを表している。この時代の高等学校の生徒というのは今の大学教養課程にあたり社会のエリートと考えられていた。三四郎は九州なので熊本に合った第五高等学校だと思われる。しかしこの社会のエリートの象徴である帽子に対し女は「ただの汚い帽子と思っている」とある。つまり三四郎は高等学校の生徒であったことに対して自信を持っているが、女はそれに気づいていないというある種のすれ違いが起こっている。

 

宿に入ったのち、三四郎は「ちいと流しましょうか」と風呂場に入ってきた女に対し湯を飛び出してしまう場面や、布団が一つしか敷かれなかったために適当な理由をつけて女に背を向けて寝るといった場面でうぶなところを女に見せてしまう。すると別れの時にあの有名な言葉「あなたはよっぽど度胸のない方ですね」をいわれてしまう。これに対して三四郎は「プラット、フォームの上へ弾き出された様な心L持がした。」

そしてP15L8~13では三四郎の頭の中は女のことでいっぱいになり、「23年の弱点が一度に露見したような心持であった」とある。当然この時代の高等学校に女性はいないので、三四郎は今までほとんど女性と関わったことがない。そのためこの経験で少し自信を失うというか狼狽してしまっている。